FLAME VEIN
FLAME VEIN / BUMP OF CHICKEN (1999)
BUMPのアルバムを1枚ずつ取り上げて行こうと思って、でもどの順番で書いていこうかちょっと悩んだ。好きな順位のランキングを付けて下から順番に、って方法もあるなと思ったけど、そんなに明確な順位はつけられない。「orbital period」だけは頭ひとつ抜けてる感じだけど、あとは全部同じくらい好きだから。
そういう訳で、単純に最初のアルバムから順に取り上げていくことにした。今日はその第1回。
このアルバムが最初にハイライン盤でリリースされたのは1999年3月。その頃の私は今みたいにライブに足を運んだり、買ったCDを机に常にうず高く積み上げてるようなことはしてなかったけど、決して音楽を聴いてなかった訳じゃない。よく聴いてるラジオ番組には頻繁にリクエストのメールを送っていたし、CDもときどきは買ってた。’99年の3月って言えば…そう、ちょうど宇多田ヒカルの「First Love」を買った頃か。でもその時はまだBUMP OF CHICKENってバンドのことは全然知らずにいた。
今の私は音楽雑誌もいろいろ読むし、ネットの音楽サイトでしょっちゅういろんな情報を仕入れたり、YouTubeで好きになれそうな音楽をあれこれ漁ったりもするから、新しいバンドを見つける機会も昔よりはずっと多い。KANA-BOONとかSHISHAMOもそういう感じでブレイク前に知って「うわ、とんでもなく魅力的なバンドが出て来たな」って驚いてたら、あれよあれよという間に人気者になってしまった。
そんな風に、私もこの「FLAME VEIN」を出したばっかりの頃のBUMPに出会いたかったなってつくづく思う。まっさらな状態でこの新人に出会ったら、どれだけ驚くことが出来ただろう。今聴いても完璧すぎる7曲(私が持ってるのはトイズから再発されたものなので+1のバトルクライも入って8曲なんだけど)、これらの曲を書き、やたらと色気にあふれたハスキーな声で歌う19歳の藤原基央っていう少年と、同い年のその親友たちからなる、恐るべき新人バンド。
とんでもないやつらだと戦慄したかも知れないし、生意気な子たちだって反感を抱いたか、もしくはあっという間に虜になったかも。とにかく驚いたことは間違いないと思う。
私が彼らを知ることになるのは、少なくともここからさらに2年後に「天体観測」で大ブレイクした時で、その時は残念なことに「流行りもの」ってフィルターをかけて見てしまったせいであまり興味を持つこともなく、結局、彼らの音楽にちゃんと向き合えるまでには、さらにまた何年も時間がかかることになってしまった。
本当にね、19歳だった頃の、いや20歳になったばかりでもいいや、その時の彼らに先入観なしで出会いたかった。そうすれば、こんなに回り道しないでもよかったかもしれないのにな。
…とかなんとか、いつもちょっと複雑な思いを抱きながら聴いてしまう1枚でもある。
でも若さっていう力でひたすら攻めてくる音には、無条件にパワーをもらえるので、やる気の起きないことに着手する時のBGMには最適だったりする(笑)
そしてこの記念すべき最初のアルバムが、今のこのバンドにとっても(そしてこれから先のこのバンドにとってもきっと)大きな意味を持つ曲「ガラスのブルース」から始まっていることと、この曲でもう藤原基央は言いたいことのほとんどを言ってしまっていて、いまだにそこからぶれていないこと。
これを聴くたび、その部分に毎回驚嘆させられるのだった。
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