re:evergreen

re:evergreen / My Little Lover


デビュー20周年を記念してリリースされた待望の新作。「evergreen」の音をブラッシュアップした「evergreen+」と、新作「re:evergreen」の2枚組。

「evergreen+」の方はパッと聴いただけじゃそれほど(私みたいなシロウトの耳には)違いが判らない。イヤホンでじっくり旧作と聴き比べると、ボーカルが鮮やかになってることと、バックの音にけっこう細かい改変が加えられていることがわかる。でも、基本的には手の込んだリマスター盤、って印象かな。


それよりもここでは完全な新作、「re:evergreen」について書きたい。

マイラバから小林武史が脱退してakkoのソロ・プロジェクトになり、レーベルもエイベックスに移って2006年の暮れに出されたシングル「り・ぼん」とアルバム「akko」は、明らかにそれまでのマイラバの小林武史サウンドを意識したものだった。小林武史の面影を追い続けているような作品で、確かにakkoにはそういう感じの曲が合うんだけどさ、でも正直「なんか違う…」って思ったのを憶えている。

その後、ときどき小林プロデュースのシングルがいくつかあって、特に「あふれる」を聴いた時には、そう、このメロディーにこの音に乗るakkoの声が聴きたかったんだって、聴いた瞬間に涙が出たのを思い出す。


だけどakkoはそうやって音楽活動を続けながら、着実に自分の道を歩み始めていた。アコースティックスタイルのライブ「acoakko」のツアーで定期的に全国を回って、自ら楽器を演奏し、曲を作るようになり、ミュージシャンとしてもアーティストとしても、確かな存在になっていった。

楽しそうに、のびのびと自分のペースで自分のスタイルに合った音楽を続けているakkoには、若かった頃の彼女にはない強さと大きさが感じられて、歳を重ねるごとに素敵な女性になっていくなあって、たまにライブで生の彼女を見るたびに感じていたのだった。


そんな彼女の様子が、プロデューサーとしての小林武史の心を再び動かしたらしい。先日のNHK「SONGS」でもその辺が語られていたけど、今回の「re:evergreen」はそんな訳で久しぶりに小林武史全面プロデュースの「マイラバ王道」な曲たちが、「evergreen」と同じ10曲という贅沢なボリュームで届けられた、昔からのファンにとっては夢のような作品になった。

akkoのここ数年の作品もそれなりに好きだったけど、やっぱり、やっぱりこの音にこの声が乗るのが聴きたかったんだ。曲調やメロディーも(あえて、なんだろうけど)「evergreen」を思わせるような作品が多くて、やっぱり小林作品の最高の表現者はakkoなんだよなあって、改めて思わされた。

しかも今回はデビュー当時と同じトイズファクトリーからのリリース。そして「evergreen」を再現したかのようなジャケットのakkoのポーズ。もうこれだけで私なんか泣きそうになったくらいだ(笑)


だけど、今作の歌詞に出てくる女性は、「evergreen」の恋に憧れ、生きる事に迷いを感じていたような女の子ではない。重ねてきた日々を思い、失ったものに思いを馳せ、それでも確かな足取りで歩み続けていく大人の女性が、そこには描かれている。

アルバムのクレジット、「evergreen」には“MY LITTLE LOVER are AKKO・KENJI FUJII and TAKESHI KOBAYASHI”と記載されていたんだけど、今回はしっかりと“My Little Lover is AKKO”って書かれていた。

20年、彼女が守り続けてきたマイラバの看板。これからもその名前を掲げて、背筋を伸ばして美しく歩く彼女らしく、凛として歩み続けてほしい。

まだまだついて行きますから。

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